ジェイン・オースティンの長編を中心に作品を紹介します。
『ノーサンガー・アビー( Northanger Abbey )』
1798年から翌年にかけて執筆された『スーザン』という小説がそのままの形で出版された作品。
ジェイン・オースティンはこの作品を熱心に売り込んだが、出版社の評価は低く、彼女の死後、兄ヘンリーによって『ノーサンガー・アビー』と改題され、出版。出版は死後であるが、実質の処女作。
タイトルの『ノーサンガー・アビー』とはヘンリーの実家、ノーサンガー館をさします。
あらすじ
子どもの頃のキャサリン・モーランドを見た人は、誰もこの娘がヒロインになると思わないだろう、とオースティンはヒロインを紹介します。
が、年頃になり、美しくなったキャサリンは近所に住むアレン夫妻に連れられてバースへ行きます。当時のバースは上流階級の人たちの一大社交場でした。
舞踏会、散歩、買い物といった華やかな日々を過ごす中、遊び人のジョン・ソープや牧師のヘンリー・ティルニーなどに出会う。
ヘンリーの父親の館、ノーサンガー・アビーに招待されたキャサリンは現実と空想を混同してしまい、ヘンリーの父親のティルニー将軍が妻を殺したのではないか、と想像を膨らませた結果、大きな失敗をすることに。
くわえて、ティルニー将軍の勘違いなどもあったが、最後にヘンリーとめでたく結ばれます。
日本語訳
映像化
『分別と多感( Sense and Sensibility )』
1790年代に『エリナとメアリアン』として執筆。その後、1811年に匿名で出版。
オースティン作品では一番最初に出版された作品。
あらすじ
「分別」のある姉エリナと、「多感」な妹メアリアン。
エリナが思いを寄せるエドワード・フェラーズは、内気で物静かで誠実な青年。
しかし、彼のハッキリとしない態度は妹のメアリアンからすると物足りないものでした。そのメアリアンに思いを寄せるブランドン大佐。
しかし、メアリアンが激しい恋に落ちたウィロビーは、美貌と気品を兼ね備えた理想的な男性でした。
母親のダッシュウッド夫人は大喜び。
その後、ひと悶着ふた悶着の後、エリナとエドワード、メアリアンとブランドン大佐が結ばれます。
日本語訳
映像化
- いつか晴れた日に(『分別と多感』)/1995年 ※上記動画参照のこと
- 『分別と多感』/BBC/2008年
『高慢と偏見( Pride and Prejudice )』
ジェイン・オースティンの代表作。
あらすじ
『高慢と偏見』のあらすじに関してはこちらのページ、ジェイン・オースティン著『高慢と偏見』とは?あらすじと登場人物を紹介 で確認ください。
日本語訳
『高慢と偏見』の日本語訳に関してはこちらのページ、『高慢と偏見』を読み比べる で確認ください。
映像化
『高慢と偏見』の日本語訳に関してはこちらのページ、『高慢と偏見』を見る で確認ください。
『マンスフィールド・パーク(Mansfield Park)』
1811年に執筆が始まり、1814年5月に出版されます。
あらすじ
ヒロイン、ファニー・プライスは小柄で物静かで聡明な少女で、ポーツマスの実家から10歳の時に養子として引き取られ、サー・トーマス・バートラムの4人の子ども達と一緒に育てられます。
その中、ファニーは次男のエドマンドを好きになるが、エドマンドは他の令嬢に心があり、結婚まで考えている様子。
そして、ファニーには広大な領地をもつヘンリー・クロフォードが云いよってくるが、ファニーはきっぱりとはねのける。
という紆余曲折の末にファニーが初恋の人、エドマンドと結ばれるシンデレラストーリー。
日本語訳
映像化
『エマ( Emma )』
1814年から1815年にかけて書かれ、大手ジョン・マレー社から出版。軽快な作品
勘違い、間違い、思い込みなど誰にもありがちな欠点を持って主人公を取り巻く人間模様を描いた作品。
オースティンの兄の主治医であり、英国王室の侍医でもあった医者を介して、『エマ』の特装本が、彼女の作品の愛読者であった皇太子に献上されています。
あらすじ
ヒロイン、エマを取り巻く3人の男性(フランク、ナイトリー、エルトン)と彼らにかかわりが女性たちに対するエマの関心の深さ、勘違いぶり、独りよがりの行動による動きが描かれています。
ハイベリーの名門ウッドウハウス家の次女、エマは幼い頃に母親を亡くし、心配性活病弱な父親と二人暮らし。独身で美人で持参金もたんまりとあり、自分に絶対的な自信を持っています。
そんなエマは自分の周囲にいる人のキューピットになることを思い立ち、様々な勘違いと混乱を生み出し、最後にはナイトリーと結ばれます。
日本語訳
映像化
- 『エマ』/映画/1996年 ※上記動画参照のこと
- 『エマ 恋するキューピッド』/BBC/2007
『説得( Persuasion )』『説きふせられて』
1815年8月から翌年の8月にかけて書かれ、ジェイン・オースティンの完成作品としては最後の作品になります。この頃からオースティンは既に体調が優れず、1817年7月に亡くなります。
1818年、兄ヘンリーが『ノーサンガー・アビー』と合わせて出版します。
あらすじ
ケリンチ邸の当主ウォールター・エリオットの次女アンには、貧しいが大志を抱いている海軍士官ウェントワースという恋人がいました。互いに愛しあっていましたが、アンは周囲の説得によりウェントワースと別れます。
8年後、経済状況に悩んでいたエリオット家は、自分の屋敷を貸すことにした。
その借主であるクロフト提督の、妻の弟はウェントワースであり、彼はいまや出世して経済的にも恵まれた状況に。
2人は意識しつつも心が通わないでいたが、ウェントワースはアンに手紙を渡し、愛の告白をします。
落ち着いた大人の恋愛を描いています。
翻訳本
映像化
その他、短編
現在、準備中
『愛と友情』
『レディ・スーザン』
『ワトソン家の人々』
『サンディトン』
『ジェイン・オースティンの読書会』もおすすめ
ジェイン・オースティンへの導入口として、『ジェイン・オースティンの読書会』もおすすめです。
これはまだジェイン・オースティンの作品を読んだことがない人も楽しめると思います。