ベネット家の相続人(限嗣相続)。
エリザベスにプロポーズし、振られた直後、シャーロットにプロポーズした立ち直りの早い牧師。キャサリン・ド・バーグ夫人を熱烈に讃辞しています。
ウィリアム・コリンズ( William Collins )の性格、他
『高慢で偏見』においてウィリアム・コリンズは一種の道化役を与えられています。
つまり、大仰に勿体ぶった愚か者として。ベネット家ではベネット夫人以外はコリンズ氏をまともに相手していません。
ベネット氏の期待は十分に叶えられた。この男は思っていたとおりのいかれ者であった。
ベネット氏と思考が似ているエリザベスもコリンズ氏に対しては辛辣な表現をしています。
コリンズ氏と2回、踊った後のエリザベス。
ミスター・コリンズは、不器用なくせに物物しく、踊りに注意を向けるよりも謝ってばかりいて、しばしば動きを間違えても気がつかず、エリザベスは恥かしいやら情ないやら、およそ不愉快な相手と二回分を踊って味わい得る限りの惨めな思いを味わった。コリンズから解放された瞬間はまさに法悦の瞬間であった。
シャーロット・ルーカスとの結婚
親友、シャーロットがコリンズの結婚申し込みを受けたと聞いたエリザベス。
ミスター・コリンズは自惚れの強い、勿体ぶった、度量の狭い、愚かな男よ。私はそう思っているけれど、お姉様だってそれは分かっている筈だわ。そんな男と結婚する女はまともな考え方の出来ない女だということも、お姉様は感じている筈よ、私に劣らずね。(p239)
エリザベスはこの結婚を決めたことにより、シャーロットは自らの尊厳を失ったと考えています。しかし、賢明で理性的なシャーロットには別の考えがありました。
あなたも知っての通り、私はロマンティックな女ではないし、今までだってそんな女ではなかった。私は安楽な家庭が欲しいだけなの。ミスター・コリンズの人柄や、縁故関係や、社会的地位を考えれば、私はあの人と結婚しても幸福になれる見込みは十分になると思っているの、大抵のひとが結婚生活に入って誇れる程度の幸せは得られるだろうと。
事実、シャーロットは実に巧みにコリンズ氏を操縦し、彼女は彼女の思うような家庭を作り上げます。
ミスター・コリンズは妻が聞けば当然恥しく思うようなことを何度も口にしたが、その都度エリザベスは思わずシャーロットの方へ視線を向けた。シャーロットは確かに一、二度微かに顔を赧めたようだが、大抵は懸命にも夫の話を聞いていなかった。
そして、物語の最後ではシャーロットの妊娠が示唆されており、シャーロットはミセス・コリンズとして確固たる地位を築いていくことが予想されます。
限嗣相続とは?
コリンズ氏はベネット氏の親族(従兄弟?)。
ベネット氏が亡くなるとベネット家の財産を最も近しい親族の男性であるコリンズ氏が継ぐ、それが限嗣相続です。
以下はイギリス発の大人気貴族ドラマ 『ダウントン・アビー』のサイト より引用。
相続方法を限定する制度。親族内で相続の順位を定め、不動産などの財産が売却や贈与で分割されることを防ぐ。多くの場合、長男を先頭に男系の親族をたどって、たった1人の男性の相続人がすべてを継ぐよう決められ、女性は相続できない。
また、毎日新聞の 漫画で解説:英国貴族の世界の巻 も非常に分かりやすいので、一度見てください。
結果、ベネット氏が亡くなると、ベネット氏の妻と娘はコリンズ氏の手のひらで転がされる形になり、否応もなくコリンズ氏のお情けにすがる必要が出てきます。
それを避けるために、コリンズ夫人は5人の娘を誰か金持ちの独身男性に嫁がせようと躍起になっているわけです。
誰か一人でも結婚をすると残りの姉妹を養うことができるだろう、と。
ウィリアム・コリンズを演じた俳優
『高慢と偏見』(1940年) | メルヴィル・クーパー( Melville Cooper ) |
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『高慢と偏見』(1995年) | デイヴィッド・バンバー( David Bamber ) |
『プライドと偏見』(2005年) | トム・ホランダー( Tom Hollander ) |
『高慢と偏見とゾンビ』(2016年) | マット・スミス( Matt Smith ) |
個人的には、BBC版のコリンズ氏を演じたデイヴィッド・バンバーがきちんと気持ち悪くて、うざくてワクワクしたものです。
わたしの中でコリンズ氏とはこの作品での彼をさします・・・!
そして、『高慢と偏見とゾンビ』でコリンズ氏を演じたマット・スミスはこの作品でエリザベスを演じたリリー・ジェームズと結婚も視野に入れて、付き合っている様子(笑)。
マット・スミスさん、映画の中ではダーシー氏を演じるサム・ライリーにエリザベスを奪われますが、実生活ではきちんとエリザベスを手に入れたやり手だったんですね。