出版社 | 岩波文庫 |
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翻訳者 | 富田彬 |
体裁 | 上下巻 |
刊行日 | 1950年8月3日 |
価格 | 900円+税 |
岩波文庫版の書き出し文
相当の財産をもっている独身の男なら、きっと奥さんをほしがっているにちがいないということは、世界のどこへ行っても通る心理である。
つい今し方、近所にきたばかりのそういう男の気持ちや意見は、知る由もないけれど、今言った真理だけは、界隈の家の人たちの心にどっかりと根をおろして、もうその男は、自分たちの娘の誰か一人の旦那さんと決められてしまうのである。
「ねえ、ベネット」と、ベネット氏の夫人はある日夫に言った。「いよいよネザーフィールド荘園に人が入ったってこと、お聞きになって?」
ベネット氏は、まだ聞いていないと答えた。
「でも、そうなんですよ」と夫人は言葉をかえした。「ロング夫人が今し方おいでになってすっかり話してくだすったんですのよ」と夫人は言葉をかえした。「ロング夫人が今し方おいでになって、すっかり話してくだすったんですのよ」
ベネット氏はそれに返事をしなかった。
訳者、富田彬
大正・昭和期の米文学者 立教大学名誉教授。
生年 明治30(1897)年1月25日
没年 昭和46(1971)年3月26日
出生地 栃木県宇都宮市
学歴〔年〕 東京帝国大学英文学科〔大正13年〕卒
経歴 大正15年立教大学教授に就任し、昭和39年名誉教授に。アメリカ文学の研究者として活躍し、同大米文学研究の伝統形成に貢献した。著書に昭和5年刊行の「近代英文学雑考」をはじめ「アメリカ国民文学評論」など。またエマソンなどの翻訳も多くある。
コトバンクより引用
富田彬訳『高慢と偏見』岩波文庫 レビュー